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気密性能とは

家を高断熱にする

家の断熱

 

夏涼しく、冬暖かく快適に生活するために家の外周部分は「断熱材」という物で包まれています。

具体的には外壁と屋根、床下などに断熱材が入っていて、家の中を冬の寒さや夏の暑さから守っているんですね。

 

では、この断熱材はどんな役割があるのか分かりやすいように人の服装に例えてみましょう。

 

断熱材を人の服装でたとえてみると、断熱材は上着の部分に当たります。

寒い時期は上着があるか無いかで感じる寒さが全然違いますよね。

同じように断熱材は1番外側で寒さから守ってくれるんですね。

 

では、上着についてもう少し詳しく見てみましょう。

例えばダウンジャケット1つとってみても、すごくモコモコした大きいダウンジャケットもあれば、数年前からよく見るようになった物凄く薄くて暖かいダウンジャケットもあります。

もし厚いダウンジャケットと薄いダウンジャケットが同じ暖かさであれば、薄いダウンジャケットの方が断熱性能の高い物が使われていることになります。

家の断熱材も同じで、断熱性能の高いものを使えば断熱材が薄くても性能を確保できますし、断熱性能が低い断熱材を使うなら断熱材の厚みを厚くして断熱性能を確保することになります。

 

そのため家の案内をしてもらっている時に、

「ウチの会社は断熱材を〇〇㎜も入れているんで暖かいですよ」

という営業トークを聞くことがたまにありますが、このトークは全く意味の無いことが分かります。

使っている断熱材の性能が悪ければ断熱材を多く使わないと暖かくならないので、ただ断熱材が厚くても何の売りにならないんですね。

 

このような意味のないトークをする営業マンには、

「その断熱材の性能を詳しく説明してください」

と言うのがベストです。

性能の良い断熱材が沢山入っていたら価値がありますし、性能が大したことがない断熱材が入っているなら厚くするのが当たり前という訳なんですね。

大事なのは適切な量の断熱材を隙間なく入れて高断熱の家になっているかどうか。

この部分が大切になってくるんですね。

 

また、上着にはコートもあればジャンパーやダウンジャケット等、いろんな種類があります。

断熱材も同じで、グラスウールという1番良く使われている断熱材や、ウレタンの断熱材、紙が原料になっているセルロースファイバーといった断熱材が有名です。

コートであれば少しフォーマルな着こなしの時に着たり、ダウンジャケットであれば外で運動や作業がしやすかったりなど特性があるように、断熱材も種類によって特性が違ってきます。

どの断熱材を選ぶかは服装と同じようにあなたの好みで大丈夫ですが、できるだけ住宅会社が慣れている断熱材の方が施工的には安心感があります。

高断熱にするメリット

気密

家の断熱の次は、家の気密について見ていきましょう。

気密というのは日常生活ではあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、家の性能のことを考えるとこの気密というのはかなり重要な項目になってきます。

では気密とはどういう物なのでしょうか?

家の気密とは簡単に言うと「空気がどれだけ外に漏れないか」といことです。

 

実は私自身、建築士の駆け出しの頃は家の気密の重要性を分かっていなく、恥ずかしい話ですが家に断熱材が入っていれば家の性能は良くなる物だと思っていました。

何となく断熱材さえあれば暖かい家ができると思っていたんですね。

ところがいざ家の設計を始めると、その考え方が全く違うことが分かりました。

では、どうして家には気密が重要なんでしょうか?

 

それでは、先ほどの断熱材と同じように気密を服装に例えてみることにします。

 

先ほど上着を断熱材に例えましたが、1度想像してみてください。

冬の寒い時期、あなたは上着はどのようにして着ていますか?

 

ボタンがあればボタンを閉じて、ファスナーがあればファスナーを閉じて出来るだけ暖かい空気が漏れないように、また冷たい空気が入ってこないようにする方が多いのではないでしょうか。

寒いのに、上着を羽織るだけで前は開けっ放しという人はあまりいないですよね。

 

実は家の気密性についてもこれと同じことが言えます。

 

気密性が悪い住宅というのは、真冬に上着の前を開けっ放しにしているのと同じなんです。

いくら高級な上着を着ていても、前が開けっ放しだと上着の効果は少なくて寒いですね。

気密の悪い家は断熱材の性能が活かされず、外の寒い外気がどんどん家に入ってきて、反対に家の中の暖めた空気は外に出て行ってしまいます。

昔の家は気密なんて考えていなかったので、外気がどんどん入ってきて外と対して温度が変わらない家なんかもたくさんあります。

 

一方、ボタンを閉じて暖かい空気が漏れないようにしているのが、気密性の高い家です。

1度暖めた空気が外に漏れないので、断熱材の性能が最大限発揮できるんですね。

 

でもボタンを閉じたくらいでは真冬の寒さは防ぎきれない事があります。

真冬の寒い時期にはもっと暖かくなるようにボタンを閉じるだけでなく、マフラーで首もとを守ったりしてより空気が漏れないように工夫しますよね。

これが高気密住宅と呼ばれる家になります。

 

一方、ここで注意したいのが、この高気密住宅というのは簡単にはつくれないという点です。

上着のボタンを閉じるくらいは簡単ですが、そこからさらに暖かくするにはイロイロ試して工夫をする必要がありますよね。

家も同じで、工夫を重ねてしっかりチェックしないと気密性が高い高気密住宅というのはできないんです。

それだけ経験と手間が必要になるんですね。

 

そのため、この気密性が高いかどうかで実力のある腕の良い工務店かどうか、ある程度ふるいに掛けることができます。

家の気密性のことを「C値」と呼びますが、この数値がどれくらいなのか確認することで高気密高断熱の住宅を建てれるのかどうかの判断ができるんですね。(C値は数字が低い方が性能が良いです)

 

ちなみにあくまで私の考えとなりますが、目安として関東より南の暖かい地域ではC値が1.0を切るかどうかが最低限家を依頼しても良い工務店かどうかの分かれ目だと私は考えています。(寒い地域であれば、C値1.0だと心もと無いので、もっと高い性能が求められます)

 

家は例え全てのパーツを工場で作ったとしても組み立てるのは実際の工事現場です。

パーツをつくるのは効率化できても、高い知識と技術を持った人が家を建てて経験と知識を持った人間がチェックしないと高気密な家は出来ないんですね。

それだけ手間と経験が必要なので、C値が良い工務店と話をした時は、やはり家のことを良く考えているなと思うことが多いですし、「C値?」みたいな感じの工務店と話した時は、すぐに話を終えて帰りたいと思ってしまうくらい差があります。

 

建売住宅の性能があまり良くないと言われるのは、数をこなすためには手間がかかるので気密を考えずに工事をしていることが多いのが大きな原因です。

 

手間はかかりますが、それだけ家の気密性というのは快適に生活するには重要な項目なんですね。

 

それでは最後に気密性能が落ちやすい例もご紹介しておきたいと思います。

例えば、玄関扉はドアの方が気密性が良く、引戸にすると気密性が落ちてしまいます。

引戸の場合は外壁の外側に引戸を取り付けることになるので、どうしても隙間ができやすいんですね。

 

その他には、窓によっても家の気密性は違ってきます。

窓であれば引違い窓やジャロジー窓があまり気密性が良くない窓の代表格と言えます。

特にジャロジー窓の気密性はかなり悪いので、ジャロジー窓は避けるようにしたいですね。

引違い窓も必要な部分だけ使うなど、バランスの取れた窓の計画がポイントになってきます。

まとめ

今回は断熱と気密について詳しく見てきました。

家の断熱と気密は、家の耐震性と並んで家の性能を決める大きなポイントとなります。

専門的な知識はなくても十分ですが、少なくとも家の断熱と気密はどういう物かを頭に入れておくことが、後で寒かったなどの後悔を防ぐための1番の方法となります。

そして建てる家が高気密高断熱の家になっているかはしっかり確認しておきたいですね。

ぜひ夏涼しく冬暖かい快適な家にしてくださいね。

では。

 

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